越冬する蝶

越冬する蝶

 2003年の元旦はすこぶる良い天気で、言うことのない日であった。この思いを1年の計として過ごして行きたいものだ。
  ところでこの冬もやはり雪が多い。雪国に住んでいるのであるから当然、毎年覚悟はしているのだが、朝の目覚めとともに雪降りの光景が飛び込んでくると、ため息が出る。これを何度、いや何十度繰り返せば春が来るのだろう、とふさぎこんでしまう。
  そんな雪の世界が時々、青空の下に光り輝く日がある。真っ青な空と一面の雪の風景は見事なコントラストを描いて、メルヘンの国に迷い込んだような錯覚に陥る。雪の反射で気温もぐんと上がり、突然訪れた春に、昨日の吹雪が嘘のように感じる。 そしてそんな時に現れる蝶がいる。タテハチョウの仲間だ。彼らの多くは成虫のまま越冬する。つまり休眠状態のまま冬を過ごすのだ。すべてのものが凍てつく冬に、なぜ彼らが大丈夫かと言うと、体液中に糖アルコールが含まれていて、それがいわば不凍液の役目をしているのだ。ある実験によると、マイナス24〜26℃位まで凍らない事が報告されているζ言う。まさに自然の驚異である。そんな休眠中の彼らが、突然の温度の上昇で目覚め、飛び立つと言うわけだ。
  春に生まれ、秋にはその屍をさらすと思われている蝶も、実はこの寒い冬の中、脈々と生き続けている仲間がいるのだ。雪が降るとため息をついてふさぎこんでいる自分に、彼らの生き様がまぶしく感じる。

文/柴田 喜久子


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