冬虫夏草(オサムシタケ)

冬虫夏草(オサムシタケ)

 キノコの世界にはさまざまな仲間があって、未だ分類ははっきりしていないものがある。世界中で5千種とも8千種とも言われていて、その全体像すらつかめないでいるのが現状である。しかし一般的には人々の体験によって、美味いキノコ、不味いキノコ、そして中毒を引き起こす怖いキノコ、と分けられながら今に伝えられている。
  そしてもう一つが体によいキノコである。現在のように医学も発達していない頃は、自然界に存在するものから薬を求めてきた容易に採取可能な植物からは、現在も多くの薬草が伝えられているが、キノコに関してはわずかである。その上、効果のほども眉唾的なものが多い。
  冬虫夏草と呼ばれるキノコの仲間がいる。冬の間は虫で夏になると草になる、という意味らしいが、実体は昆虫を媒介してキノコになるグループのことである。セミ、アリ、ハチ、カメムシ、トンボ等多くの昆虫から見つかっているが、小さな虫から発生するので当然のごとくキノコも極小で、見つけるのにも非常に困難を極める。しかし驚くなかれこのキノコ、中国では古くからの漢方薬として有名である。
  珍しいゆえの薬で、これもまた効果のほどは眉唾物かと思っていたところ、最近の研究で、ガンに対する薬効成分が含まれていることが分かり注目を集めている。なんともはや、昔の人たちが培ってきた体験と知識には頭が下がる。そしてこの村の自然には、そんな多くのものがまだまだ隠されているのだと思うと、体中が熱くなるのである。

文/柴田 喜久子


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