ウバユリ

ウバユリ

 夏の暑さが本格的になり、あちこちに村の花「ヤマユリ」が咲く頃、ユリというには違和感のある花が咲き始める。母種のウバユリより北部に分布するのが、この村に咲く「オオウバユリ」である。ウバユリより茎は高く、花が少し小さいが数は多い。
  花の頃には葉が無い(歯が無い)からウバユリと名づけられたが、どれを見ても葉はかなり残っているものが多い。秋、乾いた実が三つに割れると、まわりに薄く平たい膜のような翼のついた種子がビッシリ入っている。それがヒラヒラ飛んでいく様子を例えて「カラスノオカネ」という方言名があるそうだ。飛ぶのは見たことはないが、なるほどと思う。
  もともと「ユリ」とは、「高い茎に大きな花をつけるので揺れる」から「揺る」が変化してとか、「根球(ねだま)が幾重にもより重なる」から「よる」が変化するなどしてついた名である。
  しかし、オオウバユリは多少の風には揺れない。そして、花被片(かひへん)は多くのユリのように反り返らない。ただ、種子の数ほどには増えない。可憐でもなく、華やかでもなく、群落もつくらない。けれど、陽あたりのよい田んぼのあぜでも、杉林の神社の境内でも、緑色をおびた白い花は静かな存在感がある。こんなふうでありたいもの… 誰です?「ちゃんとオオ!ウバだよ」と言っているのは。

文/柴田 喜久子


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