カミキリムシ

カミキリムシ

 夏らしい夏を迎えないまま、歴の上ではすでに秋になってしまった。その秋ですら、農作物をはじめとする収穫が楽しみな季節であるのに、今年はこの異常な気象のせいで暗いニュースばかりが続く。食物、昆虫、動物、すべての生き物がこの自然界に翻弄されているのだろう。
  子どもたちの夏休みの風物詩とも言うべき昆虫採取も、どこか盛り上がらぬまま終わってしまった。いつもの年に比べて、カブトムシもクワガタムシも少なかった気がする。夏の泣き声の代表であるセミさえも、ほとんど聞こえなかった。
  そんな中で、昨年、今年と続けて珍しいカミキリムシを栗駒で採取した。「ヨコヤマヒゲナガカミキリ」という舌をかみそうな名前であるが、なかなかお目にかかれぬ珍品らしい。そういえばこのカミキリムシ、昔はカブトムシやクワガタムシと並ぶ子どもたちの憧れの昆虫であったが、近頃はどこか影が薄い。いろんな観察会で昆虫採取をするが、子どもたちはカミキリムシにはほとんど反応を示さない。やはりデパートで値段のつくような昆虫でないと、子どもたちは飛びつかないのかもしれない。加えて林業関係者には、木を食い荒らす害虫であるということから、厄介者の昆虫でもある。
  しかし私は、触覚の長いあの風貌と、大きな複眼を持つマスクがたまらなく好きである。ゴマダラカミキリ、ルリボシカミキリ、シロスジカミキリ・・・子どもたちが追いかけなくなった今も、いい年をした親父は夢中でカマキリムシを探しているのである。

文/柴田 喜久子


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