ヤマユリ

ヤマユリ

 仙人修行も赤滝祭も終わり、そろそろ夏も過ぎていくようだ。それでも、村の花「山百合」
はところどころに残って、その名のとおり揺れている。
  帰化植物とか外来種といえば、本来の生態系をおびやかす代名詞だが、ある意味で「ヤマユリ」
も他国にとっての外来種だろう。ただ、その花の豪華さから持ち込まれ、園芸種の元になり、経済
効果を生み出している点は違う。
  白い大輪の「カサブランカ」は出始めの頃、一本の値段がなんと高かったことか。
初めて経過を知ったとき、田舎娘が社交界デビューしたようだと思った。
「カサブランカ」は地名であり、白い家という意味もある。しかしどういうわけか、イングリット・バーグマン
の「カサブランカ」が浮かぶ。彼女の美しさからか。キザなセリフは死語かもしれないが、言葉のかぎりをつくして表現しなくても通じる心と心は、まだあると思う。
そして、昔も今も山里に似合うヤマユリのほうが、さほど高嶺の花でもなくて、古臭い心もわかってくれそうだ。

文/柴田 喜久子


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