クズ

クズ

 秋の七草は、山上憶良が「萩の花 をばな(尾花) 葛花 なでしこ花 をみなえし(女郎花)また藤袴(ふじばかま) 朝顔の花」と詠み、親しまれてきた。
  昔、秋の野原で見かけられた女郎花や藤袴、朝顔と詠まれた桔梗などは、野生の花が少なくなったが、今は庭に咲いて愛(め)でられている。

  一方、クズ(葛)は、いたるところにはびこる草として嫌われている。漢字にすると「蔓延る」だが、まさに字の如しで、牧草として持ち込まれたアメリカでも、今は害草扱いだ。
  植林地の下草の手入れをしなくなったことや、飼料があるため家畜のエサとして刈られなくなった事も原因なのだが、人間は自分の都合だけで善し悪しを決めてしまう。

  根は葛根湯、葛湯、葛粉と薬用や食用に、茎は葛布にと、有用な資源植物なのだから、少し見直してもいいのではないか。今また、砂漠緑化にクズを役立てようとする動きもある。
  母狐(ははきつね)が子に残した古歌に「恋しくば 尋ねきてみよ 和泉なる 信田の森の恨み葛の葉」は、風にひるがえった葉裏の白さから、「裏見」を「恨み」にかけたもので、イメージがよくないかもしれない。では、こういう歌はどうだろうか・・・。

 葛咲くや 嬬恋村(つまこいむら)の 字いくつ   石田 波郷

文/柴田 喜久子


個人情報についてリンク・著作権について東成瀬村ホームページについて
Copyright (C) 2000-2005 東成瀬村. All rights reserved.