ニホンカモシカ
「ニホンカモシカ」は、氷河期からあまり変化していない。カモシカ属は3種類いるが、
「ニホンカモシカ」は日本固有である。
シカ科ではなくウシ科で、草や木の芽などを反芻(はんすう)して食べる。ハーレムはつくらず、
夫婦か母子で暮らす。雌雄ともに2本ある角は、枝分かれないし、抜け替わらない。
夏と冬に毛替わりをする。なわばりを持ち、ため糞や眼下腺の分泌液や角研ぎでマーキングする。
繁殖期は初秋で、7ヶ月後1匹の仔を産む。 野生の寿命は6歳前後だが、飼育下では20歳以上
の記録がある。
縄文時代から狩猟の対象とされてきた。明治以降、性能のいい銃が普及して生息数が減ったため、
昭和9年に学術的価値から「天然記念物」に指定された。
しかし、肉と毛皮目的の密猟が続いて減少し、昭和30年に「特別天然記念物」に種指定され、
その後動物園での飼育に成功している。
ところで昭和40年代半ばになって、農作物や植林幼木の食害が広がり、有害駆除で捕獲
しなければならなくなった。現在は地域指定に移行しようとしている。
昭和48年に日中国交回復を記念してジャイアントパンダのランランとカンカンが贈られたとき、
日本から北京動物園に行ったのは「ニホンカモシカ」の太郎と辰子である。
文/柴田 喜久子