ヨコワサルオガセ

ヨコワサルオガセ

ヨコワサルオガセ

 今ごろの季節にスノーシューを履いて森に入ると、夏とは違った趣がある。道はないから、どこでも歩くことができる。何もないという人もいるが、草や花がなければ自然がないわけではない。山スキーがいいと言う人もいるが、早ければいいというものでもない。
  昨年2月の末、スキー場の第三リフト降場から、歩いて一時間ほどの所で見つけたのは、地衣類の「ヨコワサルオガセ」。例年より風が強く、雪面は波打っていた。樹齢二百年は経つ古いブナの木に着いて、薄い黄緑色の「髭」のように揺れていた。
  地衣類は、カビやキノコのように藻類と菌類の共生体で、藻類は、菌類から住まいと水分をもらい、菌類に光合成によってできた炭水化物を与えている。この仲間は公害に弱く、したがって分布から大気汚染の状況がわかる。
  サルオガセの仲間は適度の湿度があり、ある程度明るいところにしか育たない。そして、雪に埋もれない部分に着くから、数年間の積雪深がわかるし、着いている木を枯らさない。
  雪の上でなければ、間近に見ることができないものも多い。この村の自然は、まだまだいろいろなものを見せてくれるらしい。

文・写真/柴田喜久子



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