その6ヘッピリ嫁

ヘッピリ嫁

田子内 藤原晴子

々ある所に爺様と婆様がえだっけど。そごの家さ、一人息子ふぁえでな、嫁っこもらう事になったけど。ツヅラの上さシマの風呂敷づつみをしょった働きそうな嫁様が来たけど。爺様も婆様も大喜びだったど。
それから一週間もした頃、嫁っこぁなんだが元気がなぐって青い面して、苦しそうな面になったけど。婆様しんぺいして「これこれ姉、どっかわりが」と聞いたら、「どっこもなんともねぇのも、屁でるながまんしてだぁ」って言ったけど。そしたば婆様「屁など気にしねぇでまげれ」といったど。
「んだて、まげれば大変なごとになる。」「屁たれぐれで、大変な事などねぇ、遠りょしねぇでまげれ、まげれ」といったけど。嫁こも何日もがまんしてたもんだがら「んだら遠りょしねぇでまげらせでもらう。爺様と婆様、あでぎぶぢさじったりしまえででけろ」といったど。屁たれだぐらいで、あでぎぶぢさしまえでろ、なんていうがら、爺様と婆様、ふしぎに思ってしまえでだば、嫁こ、今までがまんしてだ尻思いっきりやぶれでビビビーと出したけど。
そしたば、家の中さ地震でもおきたようにユサ〜とゆれであでぎぶぢさしまえだ爺様と婆様どハッポ(昔のカヤ屋根の上にあった煙だしのこと)までぶっとばされでぎだっとしかがたけど。
嫁っこ腹の中のガスがみな出てすきっとして、ええ気もちになってたば、ハッポで「助けでけろ」「助けでけろ」って、さがぶもんだがら、外にえだ息子ぁ急いで助けだけど。あんまりおっかねぇおめした爺様と婆様は、嫁こ屁たれるたんびに、こんたにおっかね思いするごたばとてもでげねぇどて、「あねこ、まじ家さ帰ってけれ」といい、嫁こさヒマだしたけど。
嫁こは、とでもへたれねぇでなばくらしてえがれねぇっていうなで、なんじもしかたねぐ、ツヅラとシマの風呂敷づつみをしょっかけで家さ帰って行ったけど。
村はずれまで行ったば、大きな栗の木の下さ、村の若い者だいっぱい集まって、思案しながら上見でだけど。
嫁こぁそご通りかがって、
「お前だち、なにやってだ」
と、聞いたけど。したば若い者だ
「この栗の実おどしてぇのも、木ぁあんまり大きくて、なんとして落してえが考えでだどころだ」
といったけど。したば屁たれ嫁こぁ、
「こんただおのわけねぇべ、お前だ、まじしゃげれ」
といって、ツヅラと風呂敷づつみを下ろして栗の木さ尻つおしけでビビ…と、屁たれだけど。
そうしたば、大きな栗の木さ大風ぁ来たみだいに、ゆらゆらとゆれて栗こぁボタボタと地面さみな見ねぇぐなるころ落ぢだけど。若者だ、喜んで、あねこ(嫁こ)どさ栗の実えっぺぁけだけど。
えっぺぇ栗っこもらった嫁こは実家さ帰ってきたけど。
その話を聞いだ爺様ど婆様は屁ったれ嫁こどご、なんとがもどってきてけれと頼んだど。そして迎えに行ってつれできたけど。
それがらは、屁ったれ嫁こはあっちこっとがら頼まれて屁をビビ…とたれでは、ほうびをたくさんもらって来たど。おかげで、屁ったれ嫁この家ぁ親方衆になったけど。
トッピンパラリのプー。

(終わり)


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