ぶつかけ椀(2)
岩井川 備前ムツ
そしてな、家さ帰ったば、家では次郎と三郎ど、いっぺあ働いで来て、祝ごどしてだけど。ほして、次郎のかがどわらしど、三郎のかがどわらしど、お膳こさ座ってごっつぉ食てだけど。その時、太郎のかがどわらしはみんじゃのしまこで、にぎりままくてだけど。
そごさ、太郎が入ったば、
「おお難儀したべ、まず、おらどて、ままこお」
と、言ったけど。ほして、太郎は、まま食てたば、そごさ、オジジが来て、
「太郎なんだ、んが来てだながぁ、なに商売してるな」と、言ったけど。太郎が困ってだぱ、ふとごろのわんこが、
「ぬす人してえだ、と言え!!」
と、言ったけど。それで太郎は、
「ぬす人してえだ」
と、言ったけど。したば、
「ほう、ぬす人? んだば、ばげな、おら家さ、馬ぬすみに来え、へば、その馬ける!!」
と、言ったけど。
ひとねありしてえだば、わんこぁ、
「太郎、行ご、太郎」と言ったけど。それで、出かげで行ってみだば、川のある家で、橋をはずしてえだけど。それで、わんこが「おれどご、川の向こうさ投げろ!!」と、言ったけど。この時だと思って、ぶっかけ椀こボエーンと投げだば、わんこぁ、ヤッサ、ヤッサと橋かげだけど、ほして、
「太郎、来え」
と言ったなで、太郎はわだって行ったけど。行ってみだぱ、塀さ、カギかがってえで、入って行がれねぇけど。
そごでまだ、わんこぁ
「オレどご、塀の中さ、べぁべぁんと投げろ」
と、言ったけど。言うごど聞いで投げだけど、したぱ「ギギーギギー!!」と戸が開いだなで、
さ入って行ったけど、そして馬屋さ行ってみだば―
〈次号につづく〉