その18 ぶつかけ椀(3)

ぶつかけ椀(3)

岩井川 備前ムツ

 一人馬の上さ乗って、二人して両わぎさえで、タヅナしめえで寝でだけど。そしたば椀こぁ、「太郎、庭さえって、米三俵持ってこえ」と、言ったけど。そして馬さ乗ってだ人も三俵積んだ上さ縄でつなえで、タヅナをしまがしぇだど。次に水屋(みんじゃ)の入口のかまであるどごさえったば、火吹き竹もって寝でだ人ぁえだけど。その時椀こぁ、「尺八ど、火吹き竹、取り替えで持だせろ」と、言って、太郎ぁ取り替えだけど。こんだぁ「どどどかがなの寝どごさえって、着物のそでど、そでをつなげ」と、言ったけど。「髪ど髪もつなげ、ぎっちりつなげ」と、言ったけど。つないだら、こんだぁー「オジジー馬もらってえぐぞー」って、言ったけど。そしたば、オジジが、「なにっー」って、言って起ぎだば、かがなの髪ひっぱれで「いでてば、とどよ」「いでで、ばがよ」と言って、二人で引っぱり合いしているうぢに、髪がとげだけど。そして、着るもの着るべどて、とどぁ先に着たば、かがが、「なんだて、人の着るもの着て」と言って、かが着たば、とどがででっと裸になって、とどが着れば、かががででっと裸になったけど。
 そしているうぢ、そでがとげで、オジジが「ヨジジ、ヨジジ、火おごせ」と言ったば、「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」と、まだ尺八吹いだけど。「尺八でねぇぐ、火起ごせ」と言ったば、また、「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」と、まだ尺八吹いだけど。それで、馬屋さ行って「馬の番してだが」と聞いたば、「ちゃんと、ちゃんと」と言って、「タズナしめだが」と聞いたば、 「ちゃんと、ちゃんと」と言ったけど。オジジは「ついに太郎にやられだ」と言ったけど。
 太郎は、その馬を元に商売をはじめで、大もうけして、かがど、わらしに楽させで、幸せに暮らしたんだど。
欠けた椀でもなんでも粗末にするな、ということを語った昔っこです。

(終わり)


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