石童丸(2)
田子内 藤原 晴子
年の頃、十七、八で身なりも悪ぐねぇ、顔もわりとえ顔した娘っこ寒そうにして立てだけど。
「何か用だが」って女中頭聞いたば、「旅の者だども、今夜泊まるどごねぇ、一晩泊めでもらえねぇべが」って言ったけど。
見たどころ、みすぼらしぐもねぇし、ええ顔してるし女中頭も「一晩くらいなばええべ、寒かべ、早く中さ
入れ」って言って、その娘っこどご中さ入れで、まま食わせで、その晩ゆっくり休ませてやったど。
そうして次の朝早く起ぎで、娘っこぁ、庭はぐんだが、台所そうじするんだが、女中だ起ぎできて、びっくりしたけど。
「ゆうべは、どうもありがとうございました。旅籠賃(宿賃)もってないので、ここで働かせでけろ」って言ったもんだがら、女中頭も、この寒いのに朝早ぐ起ぎて掃除してもらえば助かる。と思ったので、
「ええよ、ええよ、一日二日な」と言ったもんだがら、娘っこも、さっぱり出て行こうとしねぇんだど。
働き者だべし、気がきぐべし、ぶりこもえべし、みんなにほめられ、一日二日が一年二年になってしまったけど。
そうしてるうぢに、よく働くものだから、殿様の身の回りの世話をするようになったけど。殿様のそばでくらしたいと思っていたのが、本当に殿様の世話ができるようになったけど。娘っこしあわせで、しあわせでたまらなくなったど。
(次号に続く)