宵節句(よいぜっく) その1

宵節句(よいぜっく) その1

田子内 藤原晴子

 昔々、ある山奥の村でな、五月の節句の前の日だけど。その日は、ええ天気でな、村の人達ぁ、
「明日は節句だがら、今日は頑張って田植えでがして、明日ぁゆっくり休むべぇ」
と、言って、おどがら、あばがら若い人達ぁ、田んぼさ出て行って、年寄りとワラシだぁばかり村さ残してしまったけど。昼間も過ぎて四時頃になったば、西の方の空が真っ暗になってきたけど。
 あら雨など降ってこえば、よでいっこでげねぇ、みんな頑張ろうって言って田植えしたけど。
 したば、夕方になって、黒えぇ雲ぁ村の上まで広まってきて、遠くの方で雷ぁ鳴り始めだけど。山鳴りしてきて、ポツリポツリ雨っこ落ちて来たけど。そしたば、村一番の年寄り爺様、
「これこれワラシだ、早ぐ家さ帰れ、山がらオニコくるがもしれねぇぞ」
と、爺様村中さ、触れ回したけど。
 その声を聞いで、家さ帰るもの、神社の周りウロウロするもの、そのうちイナヅマ光って、雷なって、大雨風になって来たけど。山の方から赤鬼、青鬼達が来て、家の軒下や、神社の軒下、床下さ隠れでえだワラシだ見付けで山さ連れで行ってしまたけど。

(次号へ続く)

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