麓から山に向かって、まるで春から初夏を敷き詰めていくように咲くスミレ。濃い緑色の大きい葉に黄色の花を咲かせるのが、「大場黄スミレ(オオバキスミレ)」です。このスミレは日本海側の多雪地帯を代表するスミレで、日本海要素と言われる植物。よく群落をつくっています。『スミレ』と言う名前の語源は、大工さんが使う「墨入れ」に似ているからとか、戦の旗印の「隅入れ」からとか、「摘まれる」から「つみれ」「すみれ」と変化したなどの説があります。
村内では、ミヤマスミレ、スミレサイシンなどの紫色のスミレが十種類ほどと、このオオバキスミレが咲きます。おおかた葉は丸みをおび「スミレ」の前後に形や色、生えている場所を示す言葉がつきます。
ところがひとつだけ前に何もつかない『スミレ』があります。花の色が濃い紫で葉は細長いへら状です。科名がそのまま種名という、このただの『スミレ』の学名は、Viola.mandshurika(ウィオラ・マンシュリカ)。「満州(減中国東北部)の」と言う意味で、大陸を中心に広く分布しています。平地では全国的にありますが、この村ではミヤマスミレやオオバキスミレのように多くはありませ
ん。
覆っていた雪が育んだ春の息吹。雪のない地方の人たちには、とうてい感じることのできない春がこの村にはあるのです。黄色がこれほどきれいな色だったということを、春が来るたびに気づかせてくれるオオバキスミレこそ、ここによく似合うスミレなのです。